採用サイトは、ターゲットとする求職者に自社の魅力や採用情報を伝えるWebサイトです。ただし、単に採用コンテンツを並べるだけでは、求職者の心を動かすことは難しいでしょう。そこで重要となるのが、「採用コンテンツの見せ方」です。例えば、数字やグラフ、動画、イラスト、漫画など、視覚的な手法を取り入れることで、採用サイトの効果を高めることができます。
本記事では、採用コンテンツの見せ方について、代表的な手法と具体事例を紹介します。これから採用サイトを制作しようと考えている企業の経営者や人事担当の方は、是非、参考にしてみてください。
目次
採用コンテンツの効果的な見せ方
採用サイトのコンテンツは、ただ羅列するのではなく、視覚的な工夫を施すことで、より効果を発揮します。
ここでは、採用コンテンツに活用できる「4つの効果的な見せ方」について、具体的な方法とその効果を紹介します。
数字やグラフの活用
数字やグラフを活用する最大のメリットは、伝えたい内容に説得力をもたせ、求職者からの信頼獲得につなげやすい点にあります。
求職者によって就職活動の軸はまちまちですが、例えば、「成長企業に入りたい」とか「若者が活躍できる企業で働きたい」など、何かしらの思いをもって採用サイトを見ています。
そうしたニーズに対して、採用サイトで「弊社は成長企業です」とか「若者が活躍できます」と言うだけでは求職者の心を動かしにくいといえます。
「創業以来、10年連続で増収増益を達成」、「20代のマネージャー比率33%」など、数字を用いて表現することで、客観的に伝えることができ、信頼獲得につながります。
また、テキストだけでなく、グラフを用いれば、情報を視覚的に分かりやすく伝えることができます。採用コンテンツのなかでも、数字やグラフの活用におすすめな情報としては、下記などがあります。
従業員・働き方に関する情報
- 従業員数
- 社員の平均年齢
- 新卒・中途比率
- 有給休暇取得率
- 平均残業時間
- 離職率
- 育休取得率
事業に関する情報
- 売上高
- 年間成長率
- 業界内でのシェア率
- 拠点数
- 取引先数
- 提供サービス・製品数
さらに、このような独自性の高いコンテンツは、SEOの観点からも重要です。オリジナル性のある情報や画像は検索エンジンからの評価を得やすく、結果として検索順位の向上やサイトへのアクセス数の増加につながる可能性が高まります。
動画の活用
動画は、企業のカルチャーやオフィスの雰囲気など、テキストだけでは伝えにくい情報を印象付けるのに効果的です。テキストのように、求職者側が文章を読み込んだり、ページ内で情報探索させる必要がないので、まだ企業に対する関心度が高くない求職者の情報収集ハードルを下げることができます。
動画コンテンツの例
採用サイトでよく用いられる動画コンテンツの例をいくつかご紹介します。
- 社員インタビュー
- 社員の1日
- オフィスツアー
- 経営陣からのメッセージ
- オリジナルドラマ
イラストの活用
イラストを用いるメリットは自由度の高さです。画像の場合、訴求内容によっては合う素材がなかったり、伝えたいことを100%表現できないケースもあります。一方、イラストは自由に描けるため、採用ブランディングの一貫性を高めることができます。
イラストを活用するもう一つのメリットは、難しい内容を分かりやすく表現できる点です。
例えば、BtoB企業や新しい技術を用いたビジネスを展開する企業にとって、自社の事業やサービスをいかに求職者に分かりやすく伝えるかは、大きな悩みの一つでしょう。そのような場合、イラストを活用することで、専門的で複雑な情報も、視覚的に分かりやすく表現することが可能です。
漫画の活用
漫画はストーリー形式で情報を伝えるため、読者の関心を引きやすく、採用サイトの滞在時間を延ばす効果があります。また、企業文化や働く魅力をユニークに表現でき、求職者の記憶に残りやすいメリットもあります。
さらに、漫画はSNSなどでシェアされやすい特性があり、採用サイトへのアクセス数が増える効果も期待できます。
その他
ここまで、採用サイトの効果を高めるうえで効果的なコンテンツの見せ方として、数字やグラフ、動画、イラスト、漫画について解説しました。
以下では、その他のアイディアを紹介します。
パンフレット
採用専用のパンフレットをPDF形式でダウンロード可能にし、会社概要や職場の魅力を伝える。
スライド資料
会社のビジョンや事業内容をスライド資料でわかりやすく解説する。
バーチャルオフィスツアー
360度カメラで撮影したオフィスの様子を公開し、求職者が職場環境をリアルに感じられるようにする。
社員のSNSアカウントの掲載
社員が運営するSNSアカウントを紹介し、職場の雰囲気や社員の日常をより身近に感じてもらう。
チャットボットの導入
求職者の質問にリアルタイムで答えるAIツールを設置し、応募に関する疑問や不安を解消する。
効果的な採用サイトの事例
続いて、4つの効果的な見せ方を実践し、成果を出している事例を具体的に解説していきます。
数字やグラフを活用した事例
多くの採用サイトでは、数字やグラフを活用して、自社に関する情報を視覚的に分かりやすく伝える工夫がなされています。ここでは、2社の採用サイトを紹介していきます。
株式会社マネーフォワード

株式会社マネーフォワードの採用サイトでは、「数字で見るマネーフォワード」と題して、働く人や企業に関する情報がわかりやすくまとめられています。
このように、数字を羅列するだけでなく、視覚的にわかりやすいインフォグラフィックを活用することで、直感的に理解させることができ、自社の魅力を効果的にアピールすることが可能です。

また、社員へのアンケート結果をSNS風のビジュアルで表現することで、親しみやすさが演出されているだけでなく、飽きずに情報を収集できる工夫が施されています。
Peach Aviation株式会社

航空会社のPeachは、「1 MINUTE PEACH」と称して、スタッフに関する情報や女性管理職比率など、求職者が関心を持つ情報をわかりやすく整理して提供しています。これにより、求職者は必要な情報に短時間でアクセスすることが可能です。

また、スタッフの趣味や部活動など、社員のパーソナリティや職場での交流を感じさせる情報を掲載することで、求職者が働く環境や企業文化を具体的にイメージしやすくする工夫がされています。
動画を活用した事例
動画は、文字や画像だけでは伝えきれない企業の雰囲気や働く人々のリアルな姿を視覚的・感覚的に伝えることができます。ここでは、動画を活用して成功した事例を2つ紹介します。
リンナイ株式会社

リンナイ株式会社の採用サイトでは、「若手社員の一日」という動画コンテンツが掲載されており、若手社員が実際に働く様子を具体的にイメージできる内容となっています。
特に新卒社員にとっては、職場で働く姿をイメージするのが難しいため、このような動画は職場環境や業務内容への理解を深め、不安を軽減するのに非常に効果的です。また、自分の適性や希望が企業に合っているかを判断する助けにもなります。
さらに、動画を通じて、職場の雰囲気やチームの関係性、働く上での価値観など、文章では伝わりにくい企業文化を直感的に伝えられる点も大きなメリットです。
株式会社ADKホールディングス

株式会社ADKホールディングスの採用サイトでは、自社や広告業界についての理解を深めてもらうための動画コンテンツが掲載されています。
例えば、広告業界を紹介する動画は、新卒にもわかりやすい内容で構成されており、業界をより身近に感じられる工夫がされています。また、選考で重視するポイントを説明した動画もあり、新卒にとって非常に有益な情報が得られる内容です。
さらに、ADKのオフィシャルムービーでは、企業のバリュー(価値観)が紹介されており、求職者はその内容を通じて、自分の価値観が企業とマッチしているかを確認することができます。
参考:ADK RECRUIT
イラストを活用した事例
イラストは、採用サイトに親しみやすさを加えるだけでなく、自社のイメージや強みを視覚的に表現できる効果的な手法です。ここでは、イラスト活用の参考になる2つの採用サイトを紹介します。
株式会社ニトリホールディングス

株式会社ニトリホールディングスの採用サイトは、トップページに可愛らしいイラストを使用することで、親しみやすさと温かみを演出しているのが特徴です。トップページは、求職者がサイトを訪れた際に抱く印象を大きく左右し、企業に対する好感度を高める重要な要素となっています。
さらに、採用サイト全体でイラストが効果的に活用されており、デザインに統一感があるため、求職者にとって見やすい構成となっています。
このイラストの工夫は、株式会社ディスコが調査した「採用ホームページ好感度ランキング」で1位に選ばれており、高く評価されています。
参考:「君の夢は、君を創る。」株式会社ニトリ 新卒採用サイト
株式会社講談社
![講談社採用ポータルサイト[おもしろくて、ためになる]](https://media.qopo.co.jp/wp-content/uploads/2025/02/recruiting-site-content-presentation-08-1024x552.webp)
株式会社講談社の採用サイトは、漫画調のイラストが多く用いられています。講談社らしさが伝わるイラストであり、企業イメージを効果的に強調しています。
また、カラフルで独創的なイラストは視覚的なインパクトが強く、他の採用サイトとの差別化に成功しているといえます。これにより、求職者の記憶に残りやすく、応募意欲を高めることにもつながるでしょう。
漫画を活用した事例
漫画はストーリー形式で情報を伝えられるため、求職者の関心を引きつけ、複雑な内容も分かりやすく伝える効果的な手法です。さらに、文章だけでは伝えきれない企業文化や働く魅力を、視覚的に表現できる点が魅力です。
ここでは、漫画を活用した採用サイトを2つ紹介します。
Sky株式会社

Sky株式会社の採用サイトに掲載されている漫画は、ユニークなストーリー設定で企業の提供するサービスや営業職の役割をわかりやすく伝える役割を果たしています。
また、短時間でサクッと読める適切なボリュームに加え、動画形式でも視聴できるよう工夫されており、求職者が気軽に内容を理解できる仕組みとなっています。
漫画は求職者に親しみやすさを与えるだけでなく、内容が記憶に定着しやすいのがメリットです。また、漫画を通じて自社サービスに対する理解を深めることができるため、企業の魅力を効果的に伝える優れたコンテンツの見せ方と言えます。
参考:SKYPCEご紹介漫画
つばめあんしんネットグループ

つばめあんしんネットグループでは、「私たちがつばめタクシーに入社した理由」というタイトルの漫画を採用サイトに用いています。
登場人物がどのような理由で入社を決めたのかを漫画で理解することで、求職者が自身の状況や希望に置き換えて考えやすいです。また、描かれるエピソードに共感を覚えることで、求職者はつばめタクシーを身近に感じやすくなり、応募意欲が高まる効果が期待されます。
参考:私たちがつばめタクシーに入社した理由|つばめタクシーグループ
採用サイトを魅力的に見せる工夫を取り入れる
この記事では、採用サイトのコンテンツの見せ方について、代表的な4つの手法や具体的な事例を紹介しました。
今回は、見せ方のパターンとして、数字やグラフ、動画、イラスト、漫画などを紹介しましたが、重要なことは、目的に合ったものを選ぶことです。採用コンテンツの見せ方は採用活動の成果に影響するので、単に他社の事例をそのまま真似るのではなく、自社の目的に合う見せ方を選ぶようにしましょう。
また、採用コンテンツの見せ方を検討する前段として、採用コンテンツのテーマ選びや中身の方向性をしっかりと整理しておく必要があります。ここをおろそかにすると、求職者に伝えるべきことが伝わらず、応募につながらなかったり、ミスマッチにつながるリスクが高まります。
採用サイト制作を外部のWeb制作会社に依頼するのも良いですが、単にWebサイト制作ができるというだけでは不十分なので注意しましょう。
例えば、採用戦略や採用プロモーション、求職市場のトレンド理解など、採用領域に関する知見が必要です。また、それらと採用サイトを効果的に連動させるための戦略策定力やデザイン力も求められます。そのうえで、採用コンテンツの見せ方に関する知見を有することが求められます。
採用サイトの制作・改善はQopoにご相談ください
私たちは、採用サイトの制作・運用に強みを持つ会社です。採用に関する豊富な知見を活かし、「制作のための制作」ではなく、「成果創出」に徹底してこだわるスタイルが特徴です。採用サイトの制作やリニューアルをご検討の方は、是非、ご相談ください。