BtoBサイトリニューアルはなぜ失敗するのか?成功確率を高める方法も解説

BtoBサイトリニューアルはなぜ失敗するのか?成功確率を高める方法も解説

BtoBサイトリニューアルで成果を上げるためには、成功確率を高める要件や有効な手順に対する理解が欠かせません。

この記事では、BtoBサイトリニューアルで陥りがちな失敗パターンから、成功確率を高める要件、正しい進め方、制作会社の選定ポイントなどを解説します。BtoBサイトリニューアルが初めての方や成果改善に課題感をお持ちの方は、是非ご一読ください。

目次

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BtoBサイトリニューアルの多くは失敗する

「企業IT動向調査報告書 2022」によると、システム開発の品質結果に満足している割合は約18%と報告されています(※)。つまり、十分に満足していない割合は約8割であり、システム開発の難しさが伺えます。これは一般的なITプロジェクトに関するデータですが、BtoBサイトリニューアルにおいても失敗はよくあることと認識した方がよいでしょう。

実際、弊社では、これまでに多くのBtoBサイトリニューアルのご相談を受けてきましたが、「過去にリニューアルしたものの、思うような成果が上がらなかった」という経験を持つクライアントが非常に多い印象を持っています。

では、なぜBtoBサイトリニューアルの多くが失敗してしまうのでしょうか。以下では、BtoBサイトリニューアルが失敗するパターンと、それを回避するための重要なポイントについて詳しく解説していきます。まずは、失敗の典型的なパターンを見ていきましょう。

※出典:一般社団法人 日本情報システム・ユーザー協会「企業IT動向調査報告書 2022」(参照:「図表 7-3-3 プロジェクト規模別・年度別 システム開発の品質満足度」における2021年度調査データ)

BtoBサイトリニューアルが失敗するパターン

BtoBサイトリニューアルが失敗するパターンを4つご紹介します。

戦略がないままリニューアルしている

まず挙げられるのは、戦略がないままリニューアルを行ってしまうパターンです。ここでいう戦略とは、事業戦略やマーケティング戦略、ブランディング戦略、営業戦略などの上位戦略を指します。

これらの戦略がない、あるいは不十分な場合、例えば以下のような問題が生じる可能性が高まります。

  • 戦略とサイトが一気通貫しておらず、ユーザーの態度変容が生じにくい
  • リニューアルの効果検証がうまく行えず、成果の良し悪しが分からない
  • リニューアル費用が増大し、改善のための費用が不足する

この失敗パターンは、特にマーケティングの専門部門をもたない中小企業やマーケティング部門の力が弱い企業などでよく見られます。

間違った戦略に沿ってリニューアルしている

もう一つは、戦略らしきものはあるものの、それが間違っているパターンです。間違った上位戦略に従ってつくられたWebサイトは、必然的に間違ったものになってしまいます。基本的には、問い合わせや資料ダウンロードなどの重点指標の伸び悩みにつながりますが、場合によってはWebサイトの重点指標は改善しているのに売上が上がらないといったケースも生じます。

このパターンに該当する企業には、以下のような傾向が見られます。

  • 顧客志向が低い
  • 改善の文化が醸成されていない
  • セクショナリズムが横行し、マーケティング部門が孤立しがち

戦略の方向性は正しいが、具現化できていない

BtoBサイトの失敗パターンには、戦略の方向性は正しいものの、具現化できていないパターンもあります。

これらはリソースやスキル不足が原因であることが多く、特にベンチャーやスタートアップでよく見られる失敗パターンです。

改善活動が不十分である

最後に、改善活動が不十分なことでリニューアルが失敗するパターンです。この失敗パターンに陥る企業は大きく2つに分けられます。

一つが、改善に対する意識は高いけれど、リソースやスキルの問題で改善サイクルがうまく回っていないパターンです。そして、もう一つが、そもそも改善しようという意識そのものが低いパターンです。

前者の企業では、リソース補填やスキルのアウトソースとして外部の制作会社を活用しているケースもあるでしょう。その場合によく見られる問題が、社内の知見不足を理由に、サイト改善を制作会社に丸投げしているケースです。社内に知見がないから、サイト制作のプロである制作会社を利用するというのは、一見妥当にも思えますが、本質的なサイト改善を行える制作会社は少ないのが実情です。知見が不十分な制作会社とタッグを組んでしまうと、無駄なサイト改修にコストを投じ続けることになりかねなません。従って、最低限、制作会社の目利き力やディレクション力が必要になります。

後者の「そもそも改善意識が低い企業」の場合、サイトリニューアルをすれば必ず効果が上がり、その効果は持続するという間違った前提を持つ企業も見受けられます。顧客や競合が変化する以上、サイトリニューアル後も適切なサイト改善が必要になります。

上記、4つの失敗パターンを見て、「そんなの当たり前のことじゃないか」と思った方もいると思います。しかし、細かなテクニック論よりもずっと大切なことですので、サイトリニューアルに取り組む際には、常に念頭に置いておきましょう。

次に、BtoBサイトリニューアルを成功に導くための重要な要件について詳しく見ていきます。

BtoBサイトリニューアルの成功確率を高める要件

BtoBサイトリニューアルの成功確率を高める要件として、特に重要なものを8つご紹介します。

勝てるチームづくり

成果を上げるためには、正しい戦略づくりと適切な実行が必要です。この戦略と実行の質は、推進するチームの質に依存します。そのため、サイトリニューアルの成功確率を上げるためには、チームづくりにこだわることが重要です。

上位戦略とBtoBサイトの連動

Webサイトは、あくまで上位戦略の目的を果たすためのツールの一つに過ぎません。従って、BtoBサイトリニューアルを行う際には、必ず上位戦略との連動性を意識する必要があります。

いきなりサイト改修に着手するのではなく、事前に上位戦略の棚卸しを行い、BtoBサイトに求められる要件の洗い出しを行うようにしましょう。

顧客思考の重視

顧客思考を重視することは、BtoBサイトリニューアルを成功に導くうえで、最も重要な要素の一つです。

想定している顧客像と実際の顧客像にズレが生じると、提供するコンテンツや機能が顧客ニーズに合わなくなり、結果的に期待した成果を得ることが難しくなります。

このズレを防ぐためには、営業やインサイドセールス、カスタマーサポートなど、顧客と向き合っている部門と連携するなどして、サイトの作り手自身の顧客理解を深めることが重要です。

競合優位性

たとえ、サイト上で発信する情報が魅力的だったとしても、相対的に競合に見劣りする場合、顧客から選ばれることは難しくなります。

そのため、サイトリニューアルに入る前の作業として、競合の強みや弱みを分析し、差別化ポイントを明確にしておく必要があります。

集客と来訪後の態度変容を考慮したサイト設計

BtoBサイトを機能させるためには、当然ですが、サイトにユーザーを連れてこなければなりません。また、来訪ユーザーの態度変容につなげる必要もあります。

そのため、リニューアルを行う際には、集客と来訪ユーザーの態度変容を考慮したサイト設計が必要です。具体的には、まずチャネル分析やサイト行動分析などを行い、現状を把握します。(この際にカスタマージャーニーマップを作成することもあります。)

現状を整理したら、あるべき姿に近づくためのアイディア出しを行い、サイト設計へと落とし込みます。

ユーザーのサイト流入経路には、検索や他メディア、広告、SNS…など様々あり、それぞれユーザーの状態や情報ニーズが異なります。

質の高いコンテンツ

BtoB取引では、信頼構築が重要です。そして、サイトにおける信頼構築のカギを握るのがコンテンツです。製品説明や導入事例、ホワイトペーパーなど、サイト上のコンテンツを充実させる視点だけでなく、それらのコンテンツが本当に役立つものか?という視点が重要です。

問い合わせ数などのコンバージョンにつなげるためにも、質の高いコンテンツを用意することを心がけましょう。

関連部門との連携

BtoBサイトのリニューアルにおいて、顧客目線は必要不可欠です。顧客目線が反映されたサイトに仕上げるためにも、リニューアルを主導するチームは、意識的に顧客と接している部門との連携が求められます。

例えば、営業やインサイドセールス、カスタマーサポートなどのメンバーに定例会に参加してもらうのも一つの手です。

改善を織り込んだプロジェクト設計

BtoBサイトのリニューアルは、最初は小規模で始め、継続的に改善していく方法がおすすめです。初期段階で大規模な改善にコストをかけると、無駄が増える可能性があるためです。少しずつ改善することで、どの施策が効果的かを検証しながら進めることができます。

BtoBサイトリニューアルの進め方

BtoBサイトリニューアルは、以下の9ステップで進めていきます。

1.プロジェクト設計

プロジェクト設計では、プロジェクトの全体像を決定します。具体的には、目標やスコープ、タイムライン、予算などを設定し、チームメンバーの役割を明確にします。

2.Webサイト戦略策定

Webサイト戦略を策定するためには、上位戦略を棚卸しして、Webサイトの要件を整理する必要があります。その上で、上位戦略と連動したWebサイト戦略を策定していきます。

3.サイト設計

サイト設計とは、Webサイトの構造や情報の配置を検討するステップです。具体的には、サイトマップを作成してナビゲーションやページの構成を設計します。また、ワイヤーフレームを作成して情報の整理を行います。また、GoogleやYahoo!などの検索経由のトラフィックを集めるために、SEOを考慮して設計します。

4.デザイン

このステップでは、ワイヤーフレームを基にして、具体的なビジュアルを作成していきます。企業や製品のイメージ、ターゲット顧客を考慮して、配色やフォントなどを選定します。

5.コンテンツ制作

トップページの他、製品・サービスの説明、導入事例、ホワイトペーパー、問い合わせフォームなど、必要なコンテンツを作り込みます。

6.開発

フロントエンド開発者とバックエンド開発者が、デザインや機能などを実際のWebサイトに落とし込んでいきます。また、CMS(コンテンツ管理システム)の導入や設定も行います。

7.テスト

サイトの動作確認やバグの修正を行います。また、クロスブラウザチェックやセキュリティチェックなども行い、問題がないか確認します。

8.公開

テストが完了したら、サーバーへのアップロードやドメインの設定などを行い、BtoBサイトを公開します。公開後は、正しく動作しているか再度確認を行うことが肝心です。

9.運用

公開後はBtoBサイトのパフォーマンスを監視し、継続的に改善を行っていくことが重要です。必要に応じて、コンテンツや機能の更新を行います。

制作会社を選ぶコツ

BtoBサイトのリニューアルにおいて、制作会社を選ぶ際の6つのチェックポイントを解説します。

BtoBマーケティングに明るいか

BtoBマーケティングの知見を持つ制作会社に依頼すると、上位戦略をきちんと理解した上で、戦略とズレのないWebサイトに仕上げてもらえる可能性が高まります。特に、クライアントの与件が間違っている場合に指摘してくれたり、積極的に提案してくれる制作会社を起用できると、より良いサイトになる可能性が高まります。

一方で、単にWeb制作のみを行っており、BtoBマーケティングに疎い制作会社に依頼すると、戦略とWebサイトの整合性が低いサイトに仕上がるリスクが高まったり、コミュニケーションコストが増大する恐れがあります。

このリスクの大小は、クライアント側でどれだけ精緻な上位戦略が描けているかだったり、クライアント側のディレクション能力によっても変わります。

例えば、クライアント側で精緻な戦略が描けており、尚且つ、制作会社をうまくコントロールできるディレクション能力があれば、仮に制作会社側にBtoBマーケティングの知見がなくても、一定程度のサイト品質を担保できるでしょう。

しかし、クライアント側に精緻な上位戦略がなく、さらに制作会社側がBtoBマーケティングに疎い場合は非常に危険です。両者ともに戦略やサイトの間違いに気が付かず、そのまま公開を迎える可能性が高まります。

そのため、制作会社を選ぶ際には、BtoBマーケティングに対する知見があるかどうかも確認するようにしましょう。Web制作だけでなく、マーケティングの戦略支援を行っている会社などがおすすめです。

コンテンツ制作力はあるか

先に説明した通り、BtoBサイトを機能させる上で、コンテンツは非常に重要な役割を担います。しかし、世の中の制作会社のなかには、コンテンツ制作に関与したがらない企業も少なからず存在します。

BtoBサイトの成果を大きく左右するコンテンツ制作に関与したがらず、クライアントから支給された原稿をそのままサイトに当て込もうとする制作会社には注意が必要です。

特に、製品・サービスの説明や導入事例、ホワイトペーパーなどのコンテンツは、リード獲得を左右する重要な要素です。制作会社のコンテンツ制作力を見極めるためにも、現在のBtoBサイトのコンテンツに対して、どのような改善点があるかを質問してみるとよいでしょう。

デザイン力はあるか

デザイン力も制作会社を選ぶ上で欠かせないポイントです。狙った成果を得るためには、デザインは論理的でなければなりません。見た目の美しさだけでなく、顧客の行動やニーズに基づいた使いやすいデザインを提案してくれる制作会社を選びましょう。

SEO対策の知見は豊富か

オーガニック流入を重視したリニューアルの場合は、制作会社側にSEO対策の知見があるかどうかを確認した方が良いでしょう。

SEO対策と一口にいっても、キーワード戦略やコンテンツ最適化、テクニカルやバックリンク対策など様々あります。現サイトのSEO上の問題を的確に把握し、必要な対策を行える制作会社を選ぶようにしましょう。

プロジェクトを効率的に進行できるか

リニューアルプロジェクトをスムーズに進めるためには、制作会社が効率的なプロジェクト管理能力を持っているかが重要です。手間を最小限に抑えるためにも、ワークフローがしっかり整備されている制作会社を選ぶことをおすすめします。

サイトの保守・運用を依頼できるか

BtoBサイトリニューアル後も、定期的なメンテナンスやコンテンツの更新が必要です。さらに、サイト分析や改善提案を行うマーケティング支援を依頼できると、BtoBサイトの成果を一層向上させることができます。

制作会社への依頼に必要なもの

続いて、サイトリニューアルを制作会社へ依頼する際に、事前に用意しておくとよいものをご紹介します。

RFP

RFP(Request for Proposal)とは、日本語で「提案依頼書」を意味します。発注企業が受注企業に対して提示する書類で、用意しておくと、その後の進行がスムーズになります。RFPには、以下のような内容を含めるのが一般的です。

  • 基本情報
  • 概要
  • 課題
  • ゴール
  • 対象範囲
  • 成果物
  • 機能要件
  • 非機能要件
  • 予算
  • スケジュール
  • 契約に関する条件

RFPを作成することで、制作会社と目線合わせができ、提案の抜け漏れを防ぐことにもつながります。

参考情報

参考情報として各種データを提供することで、制作会社の提案精度の向上が期待できます。例えば、自社の顧客構造や営業パイプラインの概況、サイトアクセスに関するデータなどです。ただし、自社のコアな情報を闇雲に外部に提示することはリスクにもつながります。従って、事前にNDA(秘密保持契約)を締結するなど、リスクヘッジはしておきましょう。

BtoBサイトリニューアルに関するよくある質問

最後に、BtoBサイトリニューアルに関するよくある質問に回答していきます。

BtoBサイトリニューアルの費用相場は?

BtoBサイトリニューアルの費用相場は、BtoBサイトの規模や改修範囲、実装機能、撮影やライティングの有無などによっても異なります。

小規模であれば50〜300万円、中規模であれば300〜700万円、さらに大きい規模であれば1,000万円以上かかるケースもあります。

BtoBサイトリニューアルにかかる期間は?

BtoBサイトリニューアルにかかる期間も、リニューアルの内容によって様々です。小規模なリニューアルであれば、3ヶ月ほどで完了する場合もあります。サイト全体の改修であれば、制作開始から公開までに6ヶ月程度かかるのが一般的です。

BtoBサイトリニューアルの頻度は?

BtoBサイトリニューアルの頻度も企業によって様々ですが、3〜5年が目安とされています。競争環境は日々変化しているため、適宜リニューアルや部分的な改善を検討することが求められます。

BtoBサイトの改修を検討するタイミングは?

BtoBサイトの改修を検討するタイミングとしては、下記などが想定されます。

  • マーケティング戦略の変更
  • ブランディング戦略の変更
  • Webサイト流入の強化
  • ユーザーエクスペリエンスの改善

まとめ

今回は、BtoBサイトリニューアルで陥りがちな失敗パターンから、成功確率を高める要件、正しいリニューアルの進め方、制作会社の選定ポイントなどを解説しました。

BtoBサイトリニューアルは、BtoBサイトの成果を大幅に高めることもあれば、失敗することもあり得ます。失敗を防ぐ上で大切なことは、小手先のテクニックに飛び付かずに、戦略や実行能力、改善マインドなど、当たり前だけれども非常に重要な要素をしっかりと整えることです。

その上で、今回ご紹介したような、成功確率を高める要件を意識してリニューアルに取り組むことが肝心です。

リニューアルを制作会社に依頼する場合は、BtoBマーケティングの知見やコンテンツ制作力、デザイン力、プロジェクト進行力などが備わっているかを確認するようにしましょう。また、事前にRFPや参考情報を準備できると、提案の精度を高められるので、検討してみてください。


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私たちは、BtoBマーケティングの戦略支援に強みを持つ会社です。BtoBマーケティングの豊富な知見を活かしたサイトリニューアルも数多く手掛けており、「制作のための制作」ではなく、「成果創出」に徹底してこだわるスタイルが特徴です。BtoBサイトリニューアルをご検討の方は、是非、ご相談ください。

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